この記事では、プラスドライバーの正しい使い方を説明します。この記事を読むと、ねじをなめる(ねじの頭をつぶしてしまうこと)トラブルを減らすことができます。
自分もクルマいじりや仕事で何度もプラスねじをなめさせています。一番最初ははじめてバイクのキャブをばらしたときに、プラスねじがなめてしまい、泣く泣くオーバーホールを断念した記憶を覚えています。これまでの経験から、なじをなめずにゆるめる方法を紹介しますので、ぜひ最後まで読んでください。
どうしてもゆるまない場合の対処方法も解説しますので、参考にしてください。
まず最初に要点です。
- サイズの合ったドライバーを使う
- ねじに対して垂直にドライバーを当てる
- 強く押し込む
- まっすぐ回す
- それでも緩まない場合の対処方法
それでは順番に詳しく説明します。
サイズの合ったドライバーを使う
プラスねじには規格があります。
主なサイズは下記になります。
ドライバーのサイズ | No.0 | No.1 | No.2 | No.3 |
---|---|---|---|---|
ねじのサイズ(mm) | 1.6~2 | 2~2.9 | 3~5 | 5.5~7 |
ドライバーのサイズの数字が小さくなるほど先端のプラスが細いものになります。No.00やNo.4とかもあります。
最初に揃えておきたいのはNo.1からNo.3のドライバーです。No.2を一番よく使います。
サイズの合ったドライバーを使わないと、なめてしまう可能性がとても高くなります。外すときはねじのサイズはいくつかはわからないことが多いので、ドライバーを当ててみて隙間があったり、大きすぎて噛まない場合はサイズを変えて当ててみてください。
少しわかりずらいですが左の写真はドライバーとプラス溝に隙間があり、がたつきます。右の写真はぴったりとついています。
サイズの合っているドライバーは上の写真のように手を離しても自立することが多いです。
ねじに対して垂直にドライバーを当てる
使うドライバーが決まったら、ねじに対して垂直にドライバーを当ててください。前後左右から見てドライバーが斜めになっていないか確認します。斜めになっているほどなめやすくなります。
強く押し込む
ここが重要です。垂直に当てたままドライバーを強く押し込んでください。一般的に
押す力7:回す力3
と言われていますが、押す力はいくら強くてもいいと思います。(プラスチックなど弱い素材を除く)
まっすぐ回す
強く押し付けながら、ドライバーを反時計回りに回します。その際に、どうしても手首のひねりなどでドライバーが斜めになってしまうので、まっすぐ垂直に回すことを意識してください。
ゆるめることができるかは最初のひとまわしが大事なので、集中して行ってください。なめてしまうと大変です。だめだと思ったら無理せず下記方法を試してください。なめてしまうと、今後の選択肢が狭まります。
緩まない場合の対処方法【固着したねじのゆるめ方】
固着したねじのゆるめ方は、下記の方法があります。
- ねじゆるめ剤(クレ556等)を浸透させる
- 貫通ドライバーを使って、ハンマーで衝撃を与える
- 摩擦増強剤をつけて回す
- 六角や四角に軸加工されているドライバーでレンチをかけて回す
- ショックドライバーを使う
- バーナーであぶってから回す
- プライヤーでつかんで回す
おすすめの方法は、上記1~4を併用することです。大体これでゆるむか、ねじが折れます。
ねじゆるめ剤(クレ556等)を浸透させる
とりあえず、スプレーしておきます。おすすめはWAKOのラスペネです。下記ハンマーの衝撃で浸透してくれるのを祈ります。
貫通ドライバーを使って、ハンマーで衝撃を与える
ドライバーの軸が後ろのほうまで貫通しているドライバーがあります。(貫通ドライバーといいます)そのドライバーをねじにあて、ドライバーの後ろをハンマーで叩きます。その衝撃で、ねじの固着を取ります。また、つぶれかけてねじ頭のプラス溝を修正する効果もあります。
摩擦増強剤をつけて回す
ねじ頭のプラス溝に摩擦増強剤をつけて、ドライバーを回します。滑りにくくなるので、大きな力で回せるようになります。
使用するまでは、「こんなの付けて意味あるのかなー」と疑っていましたが、ほんとに効果があります!ドライバーを当てた瞬間に違いがわかります。…過信してはだめですが。
六角や四角に軸加工されているドライバーでレンチをかけて回す
ドライバーの中には、軸にレンチをかけれるように加工してあるものがあります。そこにレンチをかけて、ドライバーを押さえながら回します。回す力はとても大きくなりますが、その分なめやすくなるので注意が必要です。
ショックドライバー(インパクトドライバー)を使う
ハンマーで叩いた力を回転力にかえるショックドライバーというものがあります。
- 切替をゆるめ方向にする
- ねじにあてて強く握る
- ハンマーでドライバーの後ろをたたく
強く握らないと、ドライバーが回ってしまい十分に力が伝わりません。また、使用中に締め方向に切り替わってしまっている場合がありますので、毎回確認したほうがいいです。
バーナーであぶってから回す
ねじの周りの母材をあたためます。金属は温度が上がると膨張するので、周りを温めて膨張させ、ねじとの隙間を作ります。また、ねじ自体をあたため一度膨張させてから冷まして収縮させて固着をとる方法もあります。
ただ、熱を入れていい素材なのか、何度まで上げてもいいかの判断が難しいので、慣れていない方にはこの方法はあまりお勧めしません。
プライヤーでつかんで回す
ペンチ、ウォーターポンププライヤー、バイスプライヤーで挟んで回します。ボルト頭の形状により掴めなかったり、周囲にスペースがない場合もありますので使用できないことも多いです。
また、一度つかむとボルトに傷がつきますので、新しいボルトを用意したほうがいいです。
固着したねじのゆるめ方まとめ
自分の場合は緩まなかった場合
- ねじゆるめ剤(クレ556等)を浸透させる
- 貫通ドライバーを使って、ハンマーで衝撃を与える
- 摩擦増強剤をつけて回す
- 六角や四角に軸加工されているドライバーでレンチをかけて回す
を同時にやります。
ここまですると、ねじがゆるまずに折れる可能性があります。折れたら困る場合は作業を断念することも必要です。
さいごに
正しくドライバーを使えば、ねじ頭をなめる可能性は低くなります。特にまっすぐ押さえつけることが重要ですので、意識して作業してください。
ねじが折れてしまった場合の対処法はまた説明したいと思います。
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